江戸川乱歩の美女シリーズ
江戸川乱歩の黄金仮面II 桜の国の美女
桜の国の美女
制作テレビ朝日、松竹
放送局テレビ朝日系列「土曜ワイド劇場」
放送日1980年4月12日(土) 21:02-22:51

■スタッフ

プロデューサー/植野晃弘 宇都宮恭三(テレビ朝日) 佐々木孟
原作/江戸川乱歩
脚本/櫻井康裕
音楽/鏑木 創 撮影/満井坦彦
美術/芳野尹孝 録音/島田 満 照明/石渡健蔵 編集/太田和夫
記録/宮下こずゑ 助監督/増田 彬 装置/森 篤信 装飾/石川誠次
美粧/大西和子 調音/松竹映像録音スタジオ 衣裳/松竹衣裳 現像/東洋現像所
進行/大川 修 プロデューサー補/徳重里司 中川滋弘 製作主任/沼尾 鈞
衣装協力/SIR 株式会社ロコ・アトリエ・タカダ 協力/木村土木会社 日本農林ヘリコプター(株) 伊東市 伊東観光協会
監督/井上梅次

■キャスト

明智小五郎(私立探偵)/天知 茂

文代(明智の助手)/五十嵐めぐみ

白銀花子(白銀弥之助の娘)/古手川祐子

佐伯清二(ピアニスト、花子の恋人)/宅麻 伸
ジェラール警部/大月ウルフ

小林少年(明智の助手)/柏原 貴
白銀の部下/柄沢英二
高田レイコ(保険会社調査員)/中田彩子

刑事/高峰純平
/安田憲史
ガードマン(黄金仮面の部下)/沖 秀一
/田中哲也

/工藤和彦
運送会社の運転手/羽生昭彦
/深山悦子
花子の見合い相手/鈴木謙一

浅沼由貴(白銀の秘書)/田中麻里(田中真理)

/若尾真希
マンションのアベック/酒井栄子
刑事/城戸 卓
/外崎武之

/渡辺啓子
/岩崎正信
/野口 真
/斎藤朋彦
/工藤信一

/井上泰夫
/小林 靖
/伊倉喜八郎
/楢岡 泉
/花輪又光

白銀弥之助/宇佐美淳

波越警部/荒井 注

ロベール/伊吹吾郎

■ストーリー

あれから3年…怪盗・黄金仮面が再び東京に現れた。白銀弥之助(宇佐美淳)愛蔵のルノアールの裸婦を頂く、と予告状をばら撒き、明智小五郎(天知茂)にも挑戦状を送ってきた。明智は、何故不二子という恋人が側にいながらロベール(伊吹吾郎)が再び絵画窃盗を始めたのか疑問を抱く。
明智と波越警部(荒井注)、そしてフランス国際警察のジェラール・アベ警部(大月ウルフ)はルノアールの裸婦が展示されているニュー白銀ビルで警護に当たる。だが大胆不敵にも展示会場に現れた黄金仮面は、白銀の娘・花子(古手川祐子)と秘書の浅沼由貴(田中麻里)を人質にとってルノアールの絵を強奪する…。

■美女ファイル No.11

古手川祐子
古手川祐子
白銀花子役。1959年生まれ(当時20歳)。大分県出身。
1976年、カネボウCMに出演。同年東宝芸能へ入社。
1977年、NHK少年ドラマシリーズ「幕末未来人」でドラマデビュー。
映画「細雪」(1983年)やNHK時代劇「宮本武蔵」(1984年)のお通役などで清純派女優として活躍。
この作品のオンエア時は20歳9ヶ月で、これは歴代「美女」の最年少です(2位は片平なぎささんの21歳6か月)。

■管理人の感想

第6作 「妖精の美女」の続編。劇中設定では「3年後」となっていますが、現実の時間経過では「妖精の美女」の放送から1年4ヵ月後です。
原作を完全に離れたテレビオリジナルのストーリーで作られた本作は、シリーズ指折りの凡作として誉れ?高いです。原作なしだとこうもつまらなくなってしまうのかと、やはり乱歩先生は偉大だったと再認識させられた作品ですが…、ただ個々のストーリーだけ見れば、そんなにツボを外しているわけでもないんですよね。
例によって冒頭、明智先生カメラ目線から始まり、ニセ黄金仮面のフェイントありーの、明智先生の危難ありーの、復活した明智先生と黄金仮面の対決ありーの。アクション多いし、文代さん(五十嵐めぐみ)と小林少年(柏原貴)の活躍も見られるし、それなりに面白い要素は盛り込んであります。
しかし決定的に話をダメにしているのは「恋人の不二子が死んで淋しいからその代わりの日本女性を探しにきた」と言うロベールの無節操振りです。しかも「花子に桜の花をイメージした」とかわけのわからんことをぬかして一目惚れ。更に花子には恋人(宅麻伸)がいるにもかかわらず「必ず幸せにしてみせる」と強引に割り込む悪質なストーカー振り。黄金仮面と言う折角のキャラクターを台無しにする堕落に頭を抱えたくなる気分です。
ライバルがこんなていたらくのせいか、肝心の明智先生もあまり冴えません。 序盤で黄金仮面に撃たれて負傷したジェラール警部を治療する医者に化けた明智先生、いきなり手術着とマスク、メガネと言う珍妙な姿で現れ、あっさり看破されてしまいました。急なことだったとは言え変装の名人の看板が泣く明智らしくないお粗末さです。 偽ロベールの情婦に道連れであわや無理心中させられそうになるし、最後にまた前回に続き同じ手でロベールに逃げられてしまうのもだらしがなさ過ぎです。モーターボートの上から拡声器を手に「愛は何よりも強く…」などと説いている姿もかなりまぬけです。
それと今回、疑問に思ったのは前半に登場する保険会社の女調査員(中田彩子)の存在意義。素人の身で明智をライバル視して張り合おうとする果敢なところを見せ、これは新機軸の展開なのか…と思いきや、シャワー中にあっさり殺されてしまいました。つまり何のことはない、単なる脱ぎ要員。しかし、いくら脱ぎ要員とは言え物語上に登場する必然性があってしかるべきなんですが、この女調査員の場合には脱ぎ役として無理矢理登場させたという以外に意味があるようには見えません。何か「とりあえず裸さえ出しときゃいいんだろ」みたいな作り手の安直な姿勢が窺われるんですよね。
後半での明智の変装もあまり役に立っているように見えなかったし、どうも、この作品には単にシリーズの上っ面をなでて辻褄を合わせただけの杜撰なストーリーが目立ちます。 本作の出来がもう少しよければ更に第3弾も作られたのかもしれませんが、さすがに評判悪かったのか、これにて打ち止め。やっぱこれは作らない方がよかったですかねえ?
浅沼由貴役の田中麻里(旧名・田中真理)さんはロシア系のクオーター美女。元日活ロマンポルノの女優さんですが、当時は既にポルノから引退していたので脱ぎシーンは勿論なし。ほどなく結婚引退された模様です。
佐伯清二役の宅麻伸さんはこれまでも度々チョイ役で出演していましたが、今回はめでたくヒロイン花子の恋人役に昇格。現在も活躍するベテラン俳優の初々しい演技が楽しめます。










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