■キャスト
古神八千代(古神家の娘)/ | 范 文雀 |
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屋代寅太(鉄之進の甥)/ | 谷 隼人 |
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お柳さま(八千代の母、古神家先代の後妻)/ | 南風洋子 |
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蜂屋小市(画家、八千代の婚約者)/ | 岸田 森 |
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仙石直記(鉄之進の息子)/ | 村井国夫 |
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お喜多(守衛の乳母)/ | 原 泉 |
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古神守衛(八千代の腹違いの兄)/ | 清水紘治 |
古神四方太(古神家先代の弟)/ | 菅貫太郎 |
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刑事/ | 古川義範 |
お藤(古神家の女中)/ | 小林伊津子 |
/ | 山本 聰 |
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仙石鉄之進(古神家の執事)/ | 伊藤雄之助 |
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日和警部/ | 長門 勇 |
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金田一耕助(私立探偵)/ | 古谷一行 |
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■ストーリー
昭和23年。金田一耕助(古谷一行)は戦友の屋代寅太(谷隼人)を小金井の古神家に訪ねた。古神家は岡山県に膨大な山林を持つ旧家で、戦後の混乱にもやり手の執事である仙石鉄之進(伊藤雄之助)の力で財産を守り抜いていた。鉄之進は先代の未亡人・お柳さま(南風洋子)と関係を持ち古神家の実権を握っていた。屋代は叔父の鉄之進から学資を出してもらった恩義があり、古神家の使用人の如く扱われていた。
金田一が古神家を訪れた時、酔った鉄之進が日本刀を振り回して画家の蜂屋小市(岸田森)を追い回していた。蜂屋は古神家の令嬢・八千代(范文雀)が婚約者と称して連れ込んだ居候だった。鉄之進は八千代を自分の息子の直記(村井国夫)と結婚させようと画策していたので諍いが絶えなかった。更に八千代の腹違いの兄・守衛(清水紘治)も秘かに八千代を愛していて蜂屋とは険悪な雰囲気だった。だが八千代はお柳さまと鉄之進の間に出来た子供だと言う噂があり、当の直記は結婚に及び腰な様子だった。
屋代の頼みで古神家に泊まりこむことになった金田一はその夜、庭をさ迷い歩く八千代の姿を目撃する。屋代の話では、八千代は夢遊病者だと言う。
翌朝、金田一と屋代は離れの御殿で首のない男の死体を発見する。死体は右大腿部の銃創痕から蜂屋と断定され、死亡時刻は胃の状態から前夜11時前後と推定された。だが凶器の日本刀は犯行時刻前から金庫の中に眠っていた。金庫の暗号を知るのは屋代だけであり、鍵は直記が保管していた。更に事件の日から守衛が姿を消した。日和警部(長門勇)は守衛を犯人と見て行方を追ったが、岡山から上京した守衛の乳母・喜多(原泉)は、死体は蜂屋ではなく守衛だと証言する。
■管理人の感想
原作通りの映像化が難しい作品です。原作は被害者のせむしと言う身体的特徴がトリックの根幹を成していますが、ドラマでは放送コードにかかるため省略されています。更に原作はある人物の一人称で語られ、A.クリスティの有名な手法が横溝流にアレンジされていますが、映像上でその効果を出すことは不可能。と言うわけで、ドラマは肝心要の事柄が使えないハンディを負っているのでミステリーとして弱い点には最初から目を瞑るしかありません。
加えてこのシリーズのお約束事で金田一を冒頭から登場させて屋代との友情物語を前面に出した点も、却って話の焦点をぼけさせています。
出演者だけはやたら豪華で、特に伊藤雄之助、岸田森、菅貫太郎、清水紘治、そして原泉は日本演劇史上に残る屈指の怪優たち。よくぞこれだけの顔ぶれを集めた反面、濃い面々に囲まれた范文雀はヒロインとも言えぬ中途半端な扱いでイマイチ存在感が薄いです。