横溝正史シリーズII
迷路荘の惨劇 第一回
制作毎日放送 三船プロダクション
放送局TBS系列
放送日1978年10月14日(土)22:00-22:55

■キャスト

篠崎倭文子/浜木綿子

古舘辰人/仲谷 昇

糸/千石規子

天坊邦武/伊豆 肇
古舘一人/西沢利明

戸田タマ子/秋谷陽子
速水譲治/桑原大輔

尾形静馬/滝沢 双
古舘加奈子/御道由紀子
ナレーター/鈴木瑞穂

篠崎慎吾/三橋達也

金田一耕助/古谷一行

■ストーリー

昭和25年。金田一耕助(古谷一行)は昔世話になった篠崎慎吾(三橋達也)に呼ばれて富士山麓の名琅荘(めいろうそう)に赴く。この別荘は迷路荘とも呼ばれ、先々代の古舘伯爵が館内に複雑な抜け穴を仕掛けたことで知られていた。戦後篠崎は現当主の古舘辰人元伯爵(仲谷昇)から買い取ると同時に、古舘の元妻だった倭文子(浜木綿子)も譲り受けていた。
金田一が迷路荘に着くと、驚くことに古舘と叔父の天坊元子爵(伊豆肇)が来客していた。更に金田一は、20年前に古舘家の先代・一人伯爵(西沢利明)を斬殺して行方不明になっている尾形静馬らしい人物が昨日現れたと聞く。その人物はダリアの間に入ったまま消えてしまったと言う。
その夜、篠崎の寝室に何者かによって拳銃が撃ち込まれる。更にヒヤシンスの間で天坊元子爵が殺されているのが発見され、女中のタマ子(秋谷陽子)が行方不明になっていた。

■管理人の感想

シリーズ最終作。 これは原作未読です。なのでドラマと原作がどう違うのか知らないのですが、原作は文庫版でも相当分厚かったのにドラマはたった3回なので、かなり簡略化されているようです。
お話は抜け穴を施した古めかしい館や鍾乳洞と言ういかにも探偵小説チックな舞台で繰り広げられる連続殺人。その背後には20年前の惨劇と片腕の怪人の存在が影を落とし、更には200年前からの因習まで絡んでいた…、となれば横溝ロマンの世界全開です。その分だけ新鮮味が薄いのはしょうがないとしても、それぞれの要素がただの寄せ集めに終わってしまい、事件の謎を有機的に構成していないのが気になります。
特に肝心の迷路荘という舞台が生かされているように見えません。別に普通の屋敷で起こった事件に置き換えても何ら差し支えなく、地下道の場面などが延々続く割りにあまり意味があるようには思えないからです。加えて犯人がすぐ判ってしまうのも推理物として興味を殺ぎますが、おそらく原作の簡略化で人物やストーリーの一部が省略されたことも影響しているのでしょうね。
コンパクトによくまとまっている反面、その無難な納め方ゆえに横溝シリーズらしいコクが欠けるし、お涙頂戴的な結末とも合せて何となく2時間サスペンス的な風味も感じさせるのでした。







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