昭和22年晩秋の東京郊外。黒猫亭と言う酒場の裏庭から顔のない女の変死体が発見された。警察は被害者を黒猫亭の経営者・糸島大伍（田口計）の愛人鮎子と断定、失踪した糸島と妻のお繁（太地喜和子）を指名手配したが、金田一耕助（古谷一行）は死体の素性に疑問を抱く…

横溝作品をテレビシリーズ化する場合、代表作から順次ドラマ化されるので後の作品になるほど知名度が落ちます。「黒猫亭事件」は角川文庫版の『本陣殺人事件』の中に「ほか2編」て感じで収められていた短編。でもそれじゃ本が売れないってんで、「横溝正史シリーズ�U」の放送中だけわざわざ「本陣殺人事件」を押しのけてタイトルを『黒猫亭事件』に変えて出版していた商魂たくましさには笑いました。
内容は終盤までは原作と概ね同じです。お繁役の太地喜和子も当時和服の似合うイイ女の代表格なのでイメージにぴったりのキャスティング。ところが最後の最後、犯人が死なずに逮捕されるところだけ違っていたような。うーん、何でこんなとこをわざわざ変えるのかな。原作通りでいいと思うのに。ちなみに 日兆役の池田秀一は今では声優として有名らしいですが、映画の「獄門島」でも坊さん役でした。