横溝正史シリーズ
金田一耕助の事件簿

「横溝正史シリーズ」で金田一耕助が携わった事件を発生年代順に考察しています。原作とは微妙に異なっています。
年代事件概要場所原作の設定
昭和21年蝶々殺人事件 金田一は戦争前から探偵業を営んでいたようですが、具体的な活動歴は不明です。唯一「獄門島」での磯川警部(有島一郎)と清水巡査(河原崎長一郎)の会話から、「獄門島」以前に「蝶々殺人事件」を解決して名を馳せていたことがわかります。ただ、いつ頃の事件なのかはっきりしません。磯川警部との再会が3年振りであることからすれば昭和18年かそれ以前とも考えられます。一方昭和23年の「本陣殺人事件」で岡山県警本部長(菅貫太郎)が「金田一先生は私が去年までいた大阪で迷宮事件を次々解決した」と述べているのが蝶々殺人事件のことだとすれば終戦後の事件かもしれません。 大阪? 原作の「蝶々殺人事件」は金田一ではなく横溝のもう一人の探偵役・由利先生が携わった昭和12年の事件。
獄門島
(第1シリーズ第3作)
昭和21年夏、戦地から帰った金田一耕助(古谷一行)が戦友鬼頭千万太(角野卓造)の遺言で渡った瀬戸内海の獄門島で起きた事件。旧知の磯川警部(有島一郎)と3年振りに再会。瀬戸内海原作も昭和21年(ただし10月)。
昭和22年 犬神家の一族
(第1シリーズ第1作)
たぶん初春頃。舞台は長野県の架空の那須市。 最初金田一を怪しげな風来坊と思っていた橘署長(ハナ肇)が東京の警視からの電話で実は有名な探偵と知って驚くシーンがあるので、東京でも既に名探偵の地位を確立しています。 この事件当時の金田一は東京に事務所を構え、事務所の面倒はおかねさん(野村昭子)が見ていました。信州原作では「昭和2X年」とぼかされています。しかし登場人物の生年と年齢から昭和24年と推定されます。
悪魔が来りて笛を吹く
(第1シリーズ第4作)
事件の発端となった天銀堂事件が昭和22年1月15日で、椿家の事件そのものが解決したのは10月頃のようです。 ただここで問題になってくるのが、日和警部(長門勇)との関係。「本陣殺人事件」より前なのに東京で既に旧知の間柄と言うのは矛盾します。東京原作も昭和22年。
黒猫亭事件
(第2シリーズ第7作)
昭和22年晩秋。この事件も「悪魔が来りて笛を吹く」同様、「本陣殺人事件」以前に日和警部と東京で知り合いなので年代上は矛盾します。 更に第1シリーズとのつながりで考えると、この時期は東京で事務所を構えていたはずの金田一が宿無しの風来坊なのも矛盾します。 東京原作も昭和22年(だたし3月)
昭和23年 本陣殺人事件
(第1シリーズ第2作)
昭和23年初春。シリーズ上は、この事件で初めて岡山県警の日和警部と出会います。岡山原作は昭和12年の事件。金田一のデビュー作。
三つ首塔
(第1シリーズ第3作)
劇中で年代が明示されていないのですが、金田一と日和警部が「本陣殺人事件」以来の再会を喜びあっているので昭和23年の5月頃と推定。 日和警部は「本陣殺人事件」の後で岡山県警から東京の警視庁に「栄転」したことになっています。東京原作は昭和30年。
夜歩く
(第2シリーズ第5作)
おそらく夏頃。舞台は東京なので、日和警部との関係上も問題ありません。東京・岡山原作も昭和23年。
真珠郎
(第2シリーズ第2作)
季節は不明ですが、23年の前半だとすると日和警部との関係がややこしくなるので後半にしておきます。 日和警部は「本庁の警部」として登場しますが、本庁と言うのは警視庁のことなのか?それともまさか警察庁?? いずれにしろ、信州の事件に出張する筋合いじゃありません。信州・東京原作は昭和11年の事件で探偵役は由利先生。
昭和24年 八つ墓村
(第2シリーズ第1作)
おそらく春頃。日和警部は岡山県警の警部。いつのまにか、また岡山に戻ったようです。 岡山原作では「昭和2X年」とぼかされています。しかし大正11年生まれの主人公が事件の翌年29歳(数え年)なので昭和24年と推定されます。
昭和25年 迷路荘の惨劇
(第2シリーズ第9作)
シリーズ最終作ですが、年代順ではまだ中期の事件。静岡県の事件に何故か日和警部が登場し、しかも20年前の迷路荘事件にも駆け出しの刑事として捜査に参加していたことになっています。 ってことは、岡山の前は静岡にいて、また岡山から静岡に戻ったのでしょうか? 静岡原作も昭和25年。
昭和26年 仮面劇場
(第2シリーズ第8作)
昭和26年夏。舞台は瀬戸内海の船上から京都、箱根、そして鎌倉へと移動。日和警部は東京から駆けつけます。 瀬戸内海・京都・箱根・鎌倉原作は昭和13年。探偵役は由利先生。
昭和27年 悪魔の手毬唄
(第1シリーズ第6作)
昭和27年夏。日和警部はまた岡山県警の警部。 岡山原作は昭和30年。
女王蜂
(第2シリーズ第6作)
年代表示はありませんが、昭和7年の事件から20年後なので昭和27年の夏頃と推定。伊豆の月琴島で起きた事件に例によって日和警部が出張して来ます。伊豆原作は昭和26年。
昭和30年 不死蝶
(第2シリーズ第3作)
舞台は信州の射水と言う架空の町。金田一は東京のどこかに下宿しているらしく、日和警部の依頼で出張。後で日和警部も休暇を取って駆けつけます。信州原作は昭和28年。
昭和35年 仮面舞踏会
(第2シリーズ第4作)
劇中で年代表示がないのですが、戦争中に赤ん坊だった笛小路美沙(村地弘美)が16、17歳になっているので原作同様に昭和35年と推定。金田一と日和警部は「本陣殺人事件」で出会った頃から既に10年以上経っているわけですが、お互いに全く年を取りません。軽井沢原作も昭和35年。
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