横溝正史シリーズ
本陣殺人事件 第一回
制作毎日放送 大映映画 映像京都
放送局TBS系列
放送日1977年5月7日(土)22:00-22:55

■キャスト

一柳糸子(賢蔵の母)/淡島千景

一柳賢蔵(一柳家の当主)/佐藤 慶

一柳三郎(賢蔵の弟)/荻島真一

久保克子(賢蔵の新婦)/真木洋子

一柳鈴子(賢蔵の妹)/西崎みどり

県警本部長/菅貫太郎
清水京吉(三本指の男)/草野大悟
かね/野村昭子

一柳伊兵衛(賢蔵の叔父)/北村英三
山田刑事/金井進二
村長(婚礼の媒酌人)/志摩靖彦
糸子の亡夫/中村錦司

久保銀造(克子の叔父)/内藤武敏

署長/山村弘三
/沢田長生
/森 秀人
/藤川 準

/暁新太郎
/木下サヨ子
一柳家の女中/新海なつ
/泉 春子

日和警部/長門 勇

金田一耕助(私立探偵)/古谷一行

■ストーリー

昭和23年初春。岡山県の旧本陣の末裔・一柳家で長男の賢蔵(佐藤慶)と久保克子(真木洋子)の婚礼が行われた。式には克子の叔父・久保銀造(内藤武敏)の頼みで克子とは幼馴染の金田一耕助(古谷一行)も列席していた。
だがその晩の明け方近く、夫婦の寝室である離れから悲鳴と激しい琴の音が響き渡る。金田一たちが駆けつけると、賢蔵と克子が血まみれで死んでいた。周囲の雪の上に足跡はなく、現場は密室と化していた。庭には日本刀が突き刺さり、枕元の屏風には琴の爪で引っ掻いた血の跡が残されていた。
翌朝、県警から派遣された日和警部(長門勇)らの捜査の結果、婚礼の直前に三本指の男が一柳家を訪れ賢蔵への手紙を託したこと、それを見た賢蔵の顔色が変わったことが判明する。手紙の内容は昔の怨恨による復讐を示唆しており、差出人は「生涯の仇敵」となっていた。日和警部は三本指の男すなわち「生涯の仇敵」による犯行と断定するが、金田一は三本指の男の実在に疑問を抱く。

■管理人の感想

1作目の「犬神家の一族」と同様に、この「本陣殺人事件」もブームさなかテレビ版に先駆けて映画化されています(ATG「本陣殺人事件」高林陽一監督、1975年公開)。映画版は予算の都合上か時代設定を現代に置き換え、中尾彬扮する金田一耕助もジーパン姿でしたが、内容の関してはほぼ原作通りしした。一方このテレビ版は金田一こそ着物姿で登場しますが、厳密に言えば中身はやや原作と異なります。
まず原作の時代設定は昭和12年で、これが金田一耕助のデビュー作でした。原作の金田一は事件後に久保銀造に呼ばれて物語途中から登場します。一方ドラマでは戦後の昭和23年になっています。しかも金田一は既に探偵として名を成しているばかりか、一柳家の婚礼そのものにも列席しています。どうもこのシリーズの約束事として、金田一は最初から物語に登場させないといけないみたいですね。
更に原作と違うのは、賢蔵の母親と叔父の不倫話が加わっている点です。「本陣殺人事件」映像化で最も扱いに困るのは戦前の封建的な倫理観・女性観に根ざした動機の部分しょう。昭和21年に原作が発表された時点ですら既にその点の批判があったぐらいですから、更に30年経った昭和50年代ともなれば尚更です。かと言って動機を変えるわけにはいきません。そこで、母親の不倫が原因でマザコンになった兄弟は…と言う話を付け加えたんでしょう。
もうひとつ忘れてならないのは、今回から登場するシリーズのオリジナルキャラクター日和警部の存在です。まあこれも原作通り磯川警部で良かったと思うんですけど、原作には東京と岡山に2人いる金田一の相棒役の警部を1人に固定したかったんでしょうね。地の岡山弁をあやつる長門勇が親しみやすいキャラクターを演じています。












inserted by FC2 system