横溝正史シリーズII
不死蝶 第一回
制作毎日放送 大映京都 映像京都
放送局TBS系列
放送日1978年7月1日(土)22:00-22:55

■キャスト

鮎川マリ(ブラジルのコーヒー王の養女)/竹下景子

玉造康雄/江木俊夫

矢部 都(慎一郎の娘)/栗田ひろみ

田代(記者)/山本紀彦

矢部杢衛(矢部家の当主)/小沢栄太郎(特別出演)

神崎署長/浜田寅彦
古林徹三/松山照夫
矢部慎一郎(木衛の長男)/山本昌平

河野朝子/松村康世
カンポ/ジョン・パーム
矢部英二(木衛の次男)/新田 章

日和警部/長門 勇

/清水健二
/松尾勝人
/倉谷礼子
/榊原久美子

矢部峯子(慎一郎の妻)/岩崎加根子

宮田文蔵(峯子の兄)/植木 等

金田一耕助/古谷一行

■ストーリー

信州射水の旧家、矢部杢衛(小沢栄太郎)の次男英二(新田章)が鍾乳洞で殺され、犯人と見られた玉造朋子は「私は帰ってきます」と遺書を残して消えた。それから23年後の昭和30年、ブラジルのコーヒー王の養女になった鮎川マリ(竹下景子)が母親の君江とともに町へやって来る。君江が朋子に違いないと思い込んだ杢衛は金田一耕助(古谷一行)に調査を依頼するが、マリ主催のパーティの晩、杢衛が鍾乳洞で殺される…。

■管理人の感想

このシリーズは大映&映像京都、東宝、三船プロの各社が作品ごとに製作を分担していますが、中でも一番外れがないのは大映作品で、第1シリーズに比べてレベルが落ちたと言われる第2シリーズでも極端につまらない作品はないです。これも小品ながら佳作な出来栄え。 対立する二つの旧家があったり、過去の事件に端を発した連続殺人事件だったり、鍾乳洞が舞台だったり、以前もどこかで見た・読んだ横溝作品の焼き直しのような要素が多いですが、骨格はしっかりしているので楽しめます。
お話は信州が舞台。横溝が戦前胸を病んだ時に転地療養していた場所ということで、戦時中疎開していた岡山とともにしばしば横溝作品に登場する地方です。 その小さな町で、ブラジルのコーヒー王の養女となった鮎川母娘の来訪をきっかけに23年前の事件の関係者が次々怪死。その犯人は鮎川マリの母親ではないかと疑われるわけですが、劇中でマリの母親は黒いベールで頭を被い全く顔を現しません。こういう場合その正体が誰かということはすぐわかるし、またミステリーの定石として最初に疑われた人物が犯人でないことも明白ですが、さりとて真犯人が誰なのかも意外とわからない。事件が解決した後でもう1つ意外な真相が明かされ、暗い悲劇の中に一縷の光明を以って終わります。
出演者も派手さはないものの味のあるキャスティング。冷酷非情な悪人役の多い山本昌平が最後まで意外な役柄だし、植木等はこの人ならではの役柄。若き日の竹下景子や往年のアイドル栗田ひろみが出ているのも見ものです。







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