横溝正史シリーズ
悪魔が来りて笛を吹く 第一回
制作毎日放送 東宝
放送局TBS系列
放送日1977年6月25日(土)22:00-22:55

■キャスト

椿 秋子(英輔の妻)/草笛光子

椿 英輔(元子爵)/江原真二郎

椿美禰子(英輔の娘)/檀 ふみ

菊江(玉虫の妾)/中山麻理
新宮一彦(利彦の息子)/星 正人

玉虫公丸(元伯爵、秋子の叔父)/加藤 嘉
新宮華子(利彦の妻)/岩崎加根子

日和警部/長門 勇

出川刑事/森次晃嗣

目賀重亮(秋子の主治医)/観世栄夫
信乃(秋子の乳母)/原 泉
等々力刑事/早川 保

かね/野村昭子
お種(椿家の女中)/白石幸子
/菊地勇一

新宮利彦(元子爵、秋子の兄)/長門裕之

三島東太郎(椿家の書生)/沖 雅也

金田一耕助(私立探偵)/古谷一行

■ストーリー

昭和22年1月15日。銀座の宝石店「天銀堂」で集団毒殺事件が発生。容疑を受けていた椿英輔・元子爵(江原真二郎)は「これ以上の屈辱、不名誉に耐えていくことは出来ない。ああ、悪魔が来りて笛を吹く」との遺書を残して失踪し、信州で遺体が発見される。 だが妻の秋子(草笛光子)は英輔らしい人物を見かけて怯える。 娘の美禰子(檀ふみ)から父は生きているのではないかと相談を受けた金田一耕助(古谷一行)は椿邸を訪れた晩、 邸内にフルートの音が響き渡る。翌朝、椿邸に居候している叔父の玉虫元伯爵が殺されているのが発見される。

■管理人の感想

横溝正史の代表作の1つに数えられ、テレビ版の翌年には映画化もされている作品。金田一物の名作には地方が舞台が多い中では珍しく東京の事件であり、しかも実在の帝銀事件にヒントを得ています。と言っても帝銀事件そのものとは無関係。戦後の斜陽貴族の世界を舞台に横溝ワールドを繰り広げていますが、田舎の因習や伝承を背景にした事件とは違った陰惨さで、終始暗い印象があります。
ドラマはその雰囲気を忠実なまでに映像化。第2シリーズになると目立つ手抜きもまだなく、時間とお金をかけて作り込んでいるので非常に完成度が高いです(少なくとも最終回の直前までは)。
出演者も豪華で、それぞれ登場人物のキャラクターを反映した見事なキャスティングです。 ヒロインになりそうな美禰子役に華のある美人女優を使わず、あえて聡明でも地味な雰囲気の檀ふみを起用したのも、物語の雰囲気を保つ上で正解でした。ただ秋子役の草笛光子だけはミスキャストでしょう。映画版の石坂金田一シリーズの方でしばしば演じていた気丈な女性のイメージが強いので、誰かに頼りきりの浮世離れしたお姫様と言う役柄には合いません。
もっともこのキャスティングは、最終回のためにあえて秋子のキャラクターを変えたせいかもしれませんけどね。と言うのも折角原作を忠実に映像化したのに結末が微妙に変わっているからです。原作では殺されない人物がつまらない理由で殺されているのはまあいいとして、椿秋子の最期が自殺に変わってしまったせいで物語の印象自体がだいぶ変わってしまいました。管理人の印象では、この人物は到底前非を悔いて自分から死ぬようなタマには思えないんですけどね。最後の見せ場にお涙頂戴的な要素を入れたかったんでしょうか。正直言ってこれさえなければ完ぺきだったんですが、肝心のところでイマイチの感を抱いてしまいました。












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