銀座の画廊「光彩堂」支配人の山岸孝次（菅野忠彦）は社長秘書の須川久美（篠ひろ子）と愛人関係にあった。山岸が久美のマンションに来ていた晩、同じ階で殺人事件が起こる。久美との関係が発覚するのを恐れた山岸は警察を取り繕うため、隣に住む画家志望の降田良子（竹下景子）の絵を見に来たと言う口実を設ける。 良子の絵は全く価値のないものだったが、行きがかりで山岸は数枚の絵を購入する。
良子の絵は他の絵のおまけとして美術コレクターとして知られる銀行頭取の寺村（志村喬）の元へ持ち込まれる。良子の絵を目にとめた寺村はその宗教的な深淵に驚嘆し、光彩堂の社長中久保（芦田伸介）に良子の絵をもっと集めるよう注文する。
中久保は良子を天才画家として売り出すことを画策する。だが良子の絵には秘密があった。幼い頃に喜多方の実家に逗留していた放浪画家・小山政雄（三谷昇）の絵を模写したものだったのだ。

第4シリーズは連続ドラマとなり、お馴染み原作者松本清張のカメオ出演もなし。
数えきれないほどテレビ・映画化されている清張作品ですが、「天才画の女」の映像化は現在までこれが唯一。原作は1978年の連載小説なので、放送時点ではまだ最近作だったことになります。
原作の降田良子はむしろ脇役に過ぎず、メインはむしろ絵の真贋を巡る画商同士の争いのほうにあります。ドラマでは良子をヒロインに仕立てるため話を膨らませているのでいささかバランスが悪い気もしますが、NHKならではの重量感のあるキャスティングには見応えがあります。