大映ニューフェイス
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資料が乏しく正確な情報は不明ですが、とりあえず今までに収集した結果をまとめてみます。
大映の新人俳優発掘のためのオーディション、所謂ニューフェイス募集は終戦後すぐの1945年（昭和20年）から始まり、以後ほぼ毎年定期的に行われて1969年の第20期まで続きました。1959年からは京都撮影所でも始まり 、こちらも1969年の第6期で終わっています。 なお1947年の第3期あたりまでは「新スター募集」となっており、ニューフェイスとは言われていません。1962年の第16期頃からは「フレッシュフェイス」とも呼ばれていたようです。 |
| 応募要項 |
★大映ニュー・フェイス募集★ 一、資格 男子満十八才~二十五才 女子十六才~二十二才 共に新制中学卒業以上の未婚者。 一、提出書類 ①履歴書一通（身長・体重・特技長明記） ②写真（正面・横顏・全身各一枚手札以上にて六カ月以内に撮影のもの） 一、提出先 京都市右京区太秦多數町 大映京都撮影所「俳優募集係」 一、締切 昭和三十四年九月三十日 一、審査 第一次書類審査の合格者は第二次審査日、場所等を十月八日頃迄に通知します。第二次審査の通知を受けなかった方は第一次審査に失格したものとご承知下さい。応募書類は一切返却致しません。 ＜備考＞応募に要する費用は各自負担のこと。採用者には十一月一日（予定）より五カ月間大映京都演技研究所にて必要な教育を施し其間手当を支給します。卒業後は当社俳優として契約致します。 
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| ●第一期（1945年） |
折原啓子（本名・折原芳子）、美奈川麗子（本名・篠原成代）、日高万里子（本名・山崎勝代、のちに日高加月枝）、葉山千恵子、牧百合子、早見栄子、谷眞人（本名・雪村治夫）、細川啓一 *『映画俳優入門』（岡部竜・南部僑一郎著 鹿鳴社 1951年）によれば「應募者四二一五名(合格二五名)」だったようです。 |
| ●第二期（1946年） |
中野博、北國照子、塚田靖彦、滑川輝子（三枝陽子、美川陽子）、船越榮二郎（船越英二）、關千惠子、市川喜一（黒田潤）、深澤延子（澤紀子、南條秋子）、渥美偸（渥美進）、村井百合子、高橋隆（春木隆？）、岩越智以留、上野利男、小岩井敏子（以上『新映画』1946年12月号より） 澤田信子（新宮信子）（『大映ファン』1947年11月号より）、高倉笙子（『大映ファン』1949年12月号） *『映画俳優入門』では「應募者三八五三名(合格二四名)」となっています。 |
| ●第三期（1947年） |
根上淳、若杉須美子（のちに若杉嘉津子）、杉丘毬子（本名・栗山昌子）、谷遙子（本名・谷山小百合、のちに谷川玲子）、佐々木けい子、梅村美智子（本名・河野美智子、梅村蓉子の姪）、永田芳子、佐々木陽子、中野暁子、御影照子、須田喜久代、牧美沙、湊日南、三浦まゆみ *『キネマ旬報』1947年9月号によれば「総数三五〇〇名にのぼる應募者中より最後審査の結果、男子一六名、女子四名計二〇名の採用を決定」、『映画俳優入門』では「應募者四五三五名(合格二五名)」、『大映ファン』1948年3月号によれば卒業生は男十名女十四名になっています。 |
| ●第一回ニュウスタア募集（京都、1947年？） |
三上哲（本名・永津重行）、小柳圭子、葉村雛子（嵐徳三郎の娘） *正確な時期は不明ですが、京都撮影所でニュウスタア募集と銘打って新人俳優の募集が行われ、約六千人（『大映ファン』1949年7月号より）の応募者から上記のような人々（正確な人数は不明）が選ばれた模様です。なお二回目はなかったようです。 |
| ●第四期（1948年） |
北原義郎、中条静夫、早川雄三、長谷部健、大野守保（のちに若杉英二）、目黒幸子、宮地晴子、佐川悦子（本名・福島悦子、のちに日野明子）、歌川マユミ（本名・歌川妙子）、大鳥景子、田中郁子（山本嘉次郎の姪） |
| 第五期（1951年） |
高松英郎、日下部登、香取啓介（本名・香取賢一）、若尾文子、南田洋子、城川暁子、田代悠子、湯川寿美子（本名・窪田寿美子）、白井玲子、長田惠津子、大河内靖子、宮田悅子、八代千鶴子（本名・號田千鶴子）、有島圭子（本名・渡辺圭子）、浜百代 |
| ●第六期（1952年） |
大映創立十周年記念事業の一つとして行われた「全国スタア探し」の入賞者が第六期ニューフェイスになりました。 ミス・ニツポン 兼田實枝子（筑紫実枝子） ミスター・ニツポン 若林弘（岡山弘） 準ミス・ニツポン 京紺幸惠（紺アケミ、のちに北原義郎夫人）、淵上登喜子（三田登喜子）、旭知子（立山美雪）、佐々木麗子 準ミスター・ニツポン 鈴木秀雄（美川純二）、茂木芳三（黒田剛）、奧秋潔（品川隆二）、鈴木登四男（千葉敏郎） （『近代映画』1952年3月号より） ？ 則竹卯和二（船上爽） *『日本映画俳優全集男優編』をはじめとする多くの文献で南原宏冶（船上爽、本名・則竹卯和二）も準ミスターニッポンに選ばれ第6期出身と書かれていますが、当時の文献には名前がありません。 |
| ●第七期（1953年） |
石川勝司、川口佐一郎、陶山恵司（川崎敬三）、照屋富美夫（舟木洋一）、山口了、 井上節子（のちに川崎敬三夫人）、海原妙子、金城道子（上条路子）、栗林たか子（葉山たか子）、児玉武子、小松睦子（睦正子）、酒井昌子（千葉昌子？）、杉山房江、高桑邦子、高野英子、早川令子（早川雪洲の娘）、深井玲子（青島純子）、前田幸代（川上康子） （『キネマ旬報』1954年8月号より） |
| ●第八期（1954年） |
増田清貴(鶴見丈二)、島田重雄(島田裕司)、川見寿夫（川見和夫？）、清水光彦、松本昌一、山本愛美子、杉本文子、村上博子、西川紀久子、池原幸子、木上種子、前島慶子、桜井喜美子、宮戸美知子、東博子、住友久子、大沢千江子（大沢千恵子）、荒井和子、飯岡峯子（樋口峰子？） （『キネマ旬報』1954年12月号より） |
| ●第九期（1955年） |
槻田昌也（月田昌也）、高橋謹子（小泉順子） *『映画年鑑 1957年版』 によれば「新人募集に全国知名人の推せんという新しい形式をとり、この方法で第九期ニューフェイス(一五人)」を採用したらしいですが、今のところこの2人以外の氏名は不明です。 |
| ●第十期（1956年） |
前年度に続き推薦制で募った6千名の中から、 浅原茂作、若松茂次（若松健？）、真鍋義彦（成田昇二）、花野富夫、藤山浩一（藤山浩二）、吉田信一（高田信二）、田中徹（和泉千太郎？）、富田宏（高浜裕？）、石井満元（石井竜一）、黒川清司、 中沢順子（叶順子）、持留絹子、久保田紀子（水の江瀧子の姪）、児西弘子（松平直子）、金田一敦子、松尾親代、久保田幸子、橋本敏子（美川純子）、大野夏生、宮本法子（如月敏子）、 水野麻耶（水野久美）、木村洋子、和田正子 の23人が選ばれ、これに加えて、 スポーツニッポン社主催：ミスター・ニツポン 柴田吾郎（田宮二郎） が演技研究所に入所していています（ミス・ニッポンもいるが大映には入らなかった模様） このうち水野麻耶、木村洋子、和田正子の3人は途中で退所したらしく、卒業時には名前がありません。 なお、 市田ひろみ、毛利郁子 も第十期ニューフェイスとされていますが、合格者にも卒業者の中にも何故か名前がありません。 
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| ●第十一期（1957年） |
若林祥生（若林祥二？）、竹内治巳、井上信彦、石上正治（丸井太郎）、村瀬銈造（三田村元）、渡辺久雄、藤巻公義（藤巻潤）、佐々木尚夫、小杉勇、 赤沢未知子、高橋ひろみ（奈良ひろみ？）、真中陽子（八潮悠子の妹）、生田幸子、原？子、鶴田和子（仁木多鶴子）、小山慶子、千早景以子（本名・小山景以子）、田中圭子（田中三津子） *小山景以子、村瀬銈造はそれぞれ1957年度のミス平凡、ミスター平凡。  |
| ●第十二期（1958年） |
横田穣二（槇章太郎）、水村晃、佐々木渥（日高渥？）、袴光夫、横山明弘（横山明？）、本郷功次郎、平林一雄（森矢雄二）、大川鉄郎（大川修）、伊藤雄（有川雄？）、植木直一、小山文一、乾邦夫、 依藤宗子、鶴島水南子、村井千恵子、佐々木正枝、小池初枝（浜美奈子？）、中溝勝美（岡譲司の娘、のちに幡千勝美）、浜田富久子（浜田ゆう子）、向井迪子、河村和子、市川久子、天野貴恵（三保まり子？）、水納紀世子  ちなみに、このうち河村和子は演技研究所卒業時にはいませんでした。 なおこれに先立つ「俺たちは狂っていない」の出演者募集で松沢洋一（野口啓二）、小林陽一（小林勝彦）が採用されています。平林一雄（森矢雄二）も出演者のひとりでした。 |
| ●第十三期（1959年） |
江波杏子、吉野妙子、大塚礼子、三浦友子（のちに石橋エータロー夫人）、竹村南海児（竹村洋介） |
| 京都第一期（1959年） |
山本弘子、寺内真知子、井上明子、山崎洋子、高島美穂、入船幸子、尾崎和枝、倉京子、岸孝一（丸凡太） *女子は上記8名、男子は丸凡太以外不明です。 
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| ●第十四期（1960年） |
渚まゆみ、十和田翠（本名・須藤悦子）、藤野千佳子、沢善郎 *『近代映画』1960年6月号によれば「大映の第十四期ニューフェイス試験は、一万名余りの応募者の中から、第三次にわたる審査の結果三十九名の新人が選ばれ」たことになっていますが、実際に演技研究所に入所したのは男子9名女子11名のみです。 |
| ●第十五期（1961年） |
三夏伸、石黒三郎、中谷勲、風間圭二郎（本名・斎藤敏一、のちに矢野圭二）、長谷川峯子（本名・長谷川尚子、長谷川裕見子の姪）、小牧洋子（広瀬みさ）、澄川仁恵（葵三津子） *ニューフェイスに先立ち1960年10月にフジテレビ協賛で行われたテレビ映画主演タレント募集で三千名の応募者の中から、 足立和子（小牧洋子）、萱みゆき(本名片野美幸)、三上紀子(本名三上徳子)、芦田まり(本名加賀雅子)、中谷勲 の五名が選ばれ、連続テレビ映画「東京タワーは知っている」（フジ）でデビューしています。足立、中谷、萱はそのまま大映入りしているので、おそらくこのメンバーが15期ニューフェイスにもスライドしたと思われます（芦田まりはのちの加賀まりこ。大映には入っていません） |
| ●京都第二期（1961年） |
細谷新吾（日高晤郎）、藤村志保、淡波圭子 |
| ●第十六期（1962年） |
倉石功、青山良彦、東京子（本名・色部京子）、大西恭子、沖良子（本名・大倉稜子）、松浦いづみ |
| ●京都第三期（1962年） |
伊東裕則、酒井修三(酒井修)、雨宮旭、徳田英男、泉営治郎、藤田勝久、小出岩雄、三木正八郎、前川広三、松田剛武、山中登志子、山田和子、丹羽博也 （『藝能画報』 1963年3月号より） |
| ●第十七期（1964年） |
大橋一元、美川憲一（入社せず）、宗近一、高林由紀子（林千鶴）、光実千代（本名・宮武実千代）、泉かおる、川澄節子、大川千恵子 |
| ●京都第四期（1964年） |
平泉征（平泉成）、伴勇太郎、三木本賀代、西尋子（賀川ゆき絵）、森下昌子（司みのり）、大杉育美、荒木美重子、美原沙知子（本名・遠藤栄子）、伊角静江、山路登美子（本名・岡本美恵子）、桔梗慶子  |
| ●第十八期（1965年） |
篠田三郎、笠原玲子、水木正子（本名・酒井正子）、津山由起子（本名・福島清美）、福原真理子（本名・天沼真理子） *『大映グラフ』1966年月５号によれば、男子8名、女子11名の計19名が演技研究所を卒業しています。 |
| ●第十九期（1967年） |
渥美マリ、八代順子、八重垣路子（本名・藤岡道子）、西条美奈子、甲斐弘子、三笠すみれ、島崎潔（のちに江夏圭介、入社せず） |
| ●京都第五期（1967年） |
川崎あかね、丘夏子、宇田あつみ（本名・安田厚美）、遠山順子、井上ひろみ、矢代洋子、水町由香里、織田利枝子 |
| ●第二十期（1969年） |
炎三四郎（速水亮）、別府正英、八並映子、成瀬亜紀子、小峯美栄子、三方節子、望月節子、川内悦子、浅見ちづる、山名佐知江、中野良子（入社せず） *速水亮によれば、別府正英は市川雷蔵の紹介、中野良子は撮影所長のコネ、 中野良子は卒業公演の主役に選ばれながら卒業を一ヶ月前にして辞めてしまい、その代役を演じたのが八並映子だったとか。 |
| ●京都第六期（1969年） |
伊吹新吾（伊吹剛）、新田章、熱田洋子（本名・近藤洋子） |
参考文献 『日本映画俳優全集男優編』『日本映画俳優全集女優編』キネマ旬報社 『映画年鑑』時事通信社 『映画俳優入門』 岡部竜,南部僑一郎 著 鹿鳴社 『大映ファン』『大映』『大映グラフ』『キネマ旬報』『新映画』『映画情報』『芸能画報』『近代映画』 「大映東京撮影所ニュース」「大映京都撮影所通信」 『週刊平凡』『週刊文春』『週刊読売』『週刊サンケイ』 情報提供 micahさん |