江戸川乱歩の美女シリーズ
化粧台の美女 江戸川乱歩の「蜘蛛男」
化粧台の美女
制作テレビ朝日、松竹
放送局テレビ朝日系列「土曜ワイド劇場」
放送日1982年4月3日(土) 21:02-2:51
監督井上梅次
脚本宮川一郎
音楽鏑木 創

■キャスト

明智小五郎(私立探偵)/天知 茂

一色令子(ヘアドレッサー)/萩尾みどり

文代(明智の助手)/五十嵐めぐみ

山際洋子(女優)/蜷川有紀

山際恵子(洋子の姉)/早乙女愛

小林少年(明智の助手)/柏原 貴
ミナコ(令子の助手)/松原留美子
岸田マキ(ホステス、山際大造の愛人)/志麻いづみ
中島(大造の秘書)/堀 光昭
映画プロデューサー/北町嘉朗
披露宴の仲人/星野晶子
洋子の相手役/松坂雅治

カメラマン/吉田豊明
男優/岡部正純(岡部征純)
映画宣伝部員/小森英明
映画監督/加島 潤
刑事/岡本正幸(岡本忠幸)
刑事/城戸 卓
山際家の家政婦/村上記代
/大原美佳子
映画スタッフ/黒沢 拓
バーのマダム/酒井栄子

山際大造(恵子・洋子の父)/中村竹弥

撮影所の守衛/桜川梅八
/今井健太郎
劇中劇の山際大造/渡辺紀行
/志馬琢哉
刑事/渡辺憲悟(峰憲吾)
大内五郎/羽生昭彦
映画スタッフ/篠原靖夫
検視官/鈴木謙一
庄司栄吉/加藤真琴
庄司よしえ/高山亜希子
/佐藤修三
/安藤博信
/平松幸雄
/千葉長門
/奥 毅司
庄司まゆみ/安川真由

横堀京介(横堀昆虫研究所所長)/中尾 彬

波越警部/荒井 注

黒柳博士/山本 學

■ストーリー

新人女優山際洋子(蜷川有紀)の主演映画「恐怖の毒蜘蛛」のポスター撮影会場でヘアドレッサーの一色令子(萩尾みどり)が毒蜘蛛に襲われ、黒柳博士(山本學)の治療で危うく一命を取り止める。更に洋子の父山際大造(中村竹弥)の愛人マキ(志麻いづみ)、長女の恵子(早乙女愛)が相次いで毒蜘蛛により殺害される。波越警部(荒井注)は、大造にマキを横取りされて恨んでいた昆虫研究所の横堀(中尾彬)を犯人と断定するが、明智小五郎(天知茂)は大造の過去に事件をとく鍵があると睨む…。

■美女ファイル No.18

萩尾みどり
萩尾みどり
一色令子役。1954年生まれ(当時28歳)。福岡県出身。
1974年、千葉大学在学中にTBSテレビ小説「わたしはY」で主演デビュー。
薄幸な日本美人からビジネスウーマンまで幅広く演じるほか、情報番組の司会などでも活躍。 主な出演作に映画「女王蜂」(1978年)「病院坂の首縊りの家」(1979年)、TV「阿修羅のごとく」(1980年)「3年B組金八先生」(2004年)など。

■管理人の感想

原作の「蜘蛛男」(昭和4年/1929年)は乱歩が初めて執筆した通俗長編作品。蜘蛛男と呼ばれる猟奇犯罪者が美女たちを次々と虐殺し、「邪悪の芸術」を完成しようとして明智小五郎に阻止され、最後は剣の山に身を投じて自殺する、と言うお話でした。 しかし放送規制が今より緩かった昭和50年代でも、さすがに原作のままではテレビ化できなかったのか、ドラマでは全く原型をとどめないほど大幅に内容が改竄されています。その結果、犯人の残忍な性格を比喩していた「蜘蛛男」と言うネーミングが、文字通り毒蜘蛛を凶器として利用すると言う意味になってしまったのには大笑い。ストーリーも過去の作品から寄せ集めたような内容になっています。
明智のほかにもう1人の探偵役が登場する点、殺人の動機が両親の復讐である点など物語の骨格は「死刑台の美女」と共通しています(タイトルも似ているのでややこしい)。 不気味な毒虫が殺人の小道具として使われる点は「赤いさそりの美女」とも似ています。尤も「赤いさそりの美女」の時は、いかにも作り物然としたサソリの安っぽさが失笑ものでしたが、今回は、本物の毒蜘蛛と作り物とを上手く使い分けているので前回ほどの不自然さはありません。その分、虫嫌いの人にはちょっと気持ち悪いかもしれないし、まして当事者である出演者たちは大変だったでしょうね(イグアナを抱えて登場する中尾彬サンなんかは、気のせいか声が上ずっていたような)。 また、犯人の両親たちが嵐で遭難して小船の上で殺害されたり、そのうちの1人が奇跡的に助かって帰ってくる設定などは、未映像化作品の「大暗室」の冒頭場面を連想させたりもします。
そんなこんなでどこかで見たような場面の連続なんですけど、ただ同じテレビオリジナルでも以前の「鏡地獄の美女」なんかに比べれば遥かに乱歩っぽい作品になっていますし、定番の浴室での殺人に続き華やかな結婚披露宴での第二の殺人、カーチェイス、そして明智先生の「変装ベリベリ」が最後に2度もあったりとサービスも多いので、結構楽しめる作品になってはいます。撮影所が舞台なので、ドラマを撮影しているその劇中でまた映画を撮影している、と言うのも面白い趣向です。
今回の美女、一色令子と明智先生の出会いはかなり早くて、冒頭から雨の中で立ち往生していた令子と偶然遭遇。それだけじゃ足りなかったのか、更に事件前にもう一度、結婚式に行く途中で文代さんを拾うため寄った令子の美容室でまた遭遇します。 ちなみにこの結婚式とは「文代さんの友人の結婚式」で、明智先生はスピーチを頼まれていたのですが、先生ばかりか小林君までどういう関係があるのか出席しています。その友人の親が明智事務所のスポンサーか何かなんでしょうか。かと思えば、肝心の被害者・山際恵子の結婚式の時にはどこに行ったか先生、姿が見えませんでした。何やってたんでしょうか^^; その令子が例によって先生に傾き、接近しますが、傍らの文代さんは別に嫉妬するでもなく、むしろ自分から先生に令子との食事を勧めていたのが意外でした。昔に比べて文代さんも成長したもんだ?

令子役の萩尾みどりさんは映画の金田一シリーズ「女王蜂」(1978年)「病院坂の首縊りの家」(1979年)にも出演していました。当時から薄幸で清楚可憐な印象でしたが、このドラマではケバイ化粧。ヘアドレッサーの役だから当然ですが、ただ劇中でヴィックを何度も変えたのはちょっとやりすぎのような。
もう1人のメインゲスト、黒柳博士役は山本學さん。山本學さんと言ったらなんと言っても「白い巨塔」(1978年)の、誠実で真摯な内科医・里見助教授役の印象が最も強烈です。当時、學さんが地方に講演に行った時、「先生にどうしても診て欲しくて…」と、わざわざ遠路はるばるやって来たお婆さんがいたそうです(學さんが出演していた養命酒のCMを見て「里見先生が勧めているお酒だから」と買っていた人もいたとかいないとか)なので、もしそのお婆さんがこのドラマを見ていたら、卒倒したでしょうね。同じ医者の役でも、大違いも大違いですから。
早乙女愛さんはかつて清純派女優として絶大な人気を誇っていましたが、この当時は低迷期だったのかただの被害者というちょっと意外な役柄。しかしその後「ザ・ハングマン」や映画「女猫」でセクシー女優として再ブレイクを果たし、シリーズ23作目の「炎の中の美女」では美女役に昇格しています。
蜷川有紀さんは演出家の蜷川幸雄さんの姪ごさんでしたね。今は演出とか絵の方で活躍してるそうです。
もうひとりの美女?、令子の助手ミナコ役の松原留美子さんはニューハーフの走りだった人です。ただ、この役が男である必要性は全くないので、ただ当時の話題に乗っかっただけのキャスティングだったんでしょうか。











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